「自分の強みとはなにか?」「自分は将来どうなりたいのか?」
就活や転職の相談を受けていると、この問いの前で立ち止まってしまう方に本当によく出会います。
運営者は現在、中途採用担当として日々多くの応募者と接していますが、正直なところ「キャリアの目的」をある程度言語化できている人と、そうでない人では、ESや面接で伝わってくる内容に大きな違いがあると感じます。
今回はそんな「キャリアの目的」を考えるうえで参考になる一冊、『苦しかった時の話をしようか ビジネスマンの父がわが子のために書き溜めた「働くことの本質」』(著:森岡毅)を紹介します。P&Gを経て当時経営難だったUSJのマーケティングを担い、V字回復を牽引した森岡毅さんが、就職活動を控えた実の娘さんのために書き綴った一冊です。
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こんな人におすすめ
- 志望動機やESの内容が、どうしても他の人と似通ってしまう人
- 「どんな仕事をしたいか」は言えても、「なぜそれをしたいか」がうまく語れない人
- キャリアの目的が定まらないまま、なんとなく就活・転職活動を進めてしまっている人
- 面接で「将来どうなりたいか」と聞かれると答えに詰まる人
一つでも当てはまる方には、特に読んでほしい一冊です。
「言葉に厚みがあるES」と「借り物のES」の違い
運営者はこれまで、新卒採用の現場と中途採用の現場、両方でエントリーシートや職務経歴書、そして面接に数多く向き合ってきました。その中で感じるのは、通過する人と落ちる人を見ていると、経験や能力の量だけでなく、**「その人ならではの考え方が伝わっているか」**が大きな違いになっているということです。
「御社の理念に共感しました」「成長できる環境だと思いました」——こうした言葉自体は決して間違っていません。ですが、同じような表現を一日に何十枚も読んでいると、その人ならではの輪郭がまったく見えてこないESが、驚くほど多いのも事実です。
こうした「言葉の借り物感」の根っこにあるのが、実は本書で森岡氏が指摘している「キャリアの目的」の曖昧さだと運営者は感じています。目的が定まっていないから、語る言葉も借り物になる。借り物の言葉だから、読み手の記憶に残らない。この構造は、就活生の書類だけでなく、転職者の職務経歴書でも驚くほど共通しています。
運営者自身、この「状態」から考えることの大切さに気づいたのは、新卒向けメディアの営業をしていた頃でした。当時、担当していたお客さま(企業の採用担当者)の課題をヒアリングしていく中で、「自分自身が採用という仕事を通じて、強い組織作りの一端を担えたら面白いのではないか」と感じるようになったのです。
振り返ってみると、このとき自分が惹かれていたのは「採用担当という職種」そのものではなく、「誰かの組織づくりに深く関わり、その手応えを感じられる状態」でした。もし当時、単純に「採用の仕事がしたい」という職種の希望だけで転職先を選んでいたら、今ほど納得感を持って働けていなかったかもしれません。職種そのものよりも、「どんな関わり方をしているときに自分がしっくりくるか」の方が、キャリアを選ぶ上でずっと軸になっていたと感じます。
「どんなこと」ではなく「どんな状態」から考える
森岡氏は、キャリアの目的は仮説でいいから、まず立てるべきだとしています。ただしそのとき、「どんな仕事をしたいか」という発想で考えてしまうと、基準が定まらず、かつ具体的にしようとすればするほど視野が狭くなり、かえってイメージしづらくなるとも述べています。
管理人自身、「仕事のイメージ」が湧かないまま「キャリアの目的」を組み立てようとするのは、味を知らない料理を一からレシピ化するようなものだと感じます。手順は書けても、それが美味しいかどうかは誰にも分からない。
そこで森岡氏が提示するのが、具体的な「こと」からではなく、「どんな状態であれば自分はハッピーだろうか」という未来の理想「状態」から発想するという考え方です。
この「状態」という視点こそが、この本の核だと管理人は考えています。たとえば、
営業がしたい → マーケティングがしたい
という職種ベースの発想ではなく、
人と関わりながら、自分の提案によって相手の行動が変わる状態が好き
というように、まず「状態」を言語化してみる。そこから初めて「その状態を実現できる仕事は何か」と職種に落とし込んでいく。この順番を踏むことで、自己分析からES・志望動機まで一本の線でつながっていきます。
採用の現場で見ていても、「営業をやりたい」「マーケティングに携わりたい」という職種ベースの希望だけを語る応募者よりも、「こういう状態で働けているときが自分にとって一番力を発揮できる」と語れる応募者の方が、話に厚みと一貫性が出ると感じます。
逆算して考えると、やるべきことが見えてくる
未来の理想「状態」をイメージできると、そこから逆算して「いま何をすべきか」「いつまでにどんな状態を作るべきか」が自然と見えてきます。管理人もこの点には強く同意します。
たとえば「人と関わりながら、自分の提案で相手の行動を変えられる状態」が理想なら、営業・マーケティング・コンサルティングなど、候補になる仕事が見えてきます。さらに「その中で自分がどんな役割を担いたいのか」と考えていけば、企業選びや志望動機にもつながっていきます。
逆に、その状態がまだ見えていないのであれば、無理に目的を絞り込む前に、情報収集をする段階だと割り切ってしまってよいと思います。ただしその情報収集も、あくまで「未来の理想状態」を描くためのものです。気になる人のキャリアをロールモデルとして観察してみる、というくらいの気軽さで始めてみるのがおすすめです。
自己分析として、まず考えてみてほしいこと
ここまで読んで「じゃあ実際に何を考えればいいのか」と思った方のために、自己分析の入り口として、以下の問いを自分に投げかけてみてください。
- どんな状態で働いているとき、自分は充実していると感じるか
- どんな環境だと、自分は一番力を発揮できるか
- 逆に、どんな状態だとストレスを感じるか
- その理想の状態を実現するために、どんな仕事・環境が必要か
- 今の自分に、その状態を目指すうえで足りないものは何か
いきなり完璧な答えを出す必要はありません。仮説でいいので、まずは書き出してみることが第一歩です。
採用担当として、最後に伝えたいこと
運営者が面接をするときに、まず聞くのは「志望動機」ではなく「どんな状態で働けている自分が理想か」という質問です。多くの方は、この問いに一瞬詰まります。それは決して悪いことではなく、むしろそこがスタート地点です。
自分の理想状態を自分の言葉で語れるようになると、ESや面接の内容にも自然と厚みが出てきます。もし今、「なんとなく通り一遍な内容になってしまっている」と感じているなら、一度「どんな仕事をしたいか」ではなく「どんな状態でいたいか」から考え直してみてください。
キャリアの目的について、より深く考えるヒントを得たい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
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「理想の状態」が見えてきたら、次はそれをESの言葉に落とし込む番です。一人で悩まず、プロの視点で添削してもらうのも近道です。
→エントリーシート(ES)添削をしてもらう方法
「言葉が借り物になっていないか」不安な方は、実際に落ちてしまうESに共通するパターンも合わせてチェックしてみてください。
→エントリーシート(ES)が通らない理由7選
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